江刺市役所

江刺市役所(昭和36年築、解体年不明)

岩手県奥州市江刺大通り1番8号

『広報えさし』第158号、昭和36年9月10日発行

市庁舎の落成式は九月十九日に

市役所庁舎の建設工事は、ほとんど完成し、いま最後の仕上げを急いでおり、九月十四に竣工検査を行ない、十六日に引越をして十九日に落成式を行なうことになりました。したがって市の行政事務は十六日以降は新庁舎で行なわれますが、落成記念事業の都合で農委と教委関係は約十日遅れて引越しすることになっています。
市役所庁舎の建設は、合併以来の懸案で、議会でも再三建設促進の要望が出され、依田前市長から現渡辺市長と二代にわたつて準備をすすめてきました。
その後同問題が具体化し、三カ年の継続事業とすることをきめ、敷地も向山案から町浦案へとかわりました。昨年五月の市議会で市の提案する町浦案に対し、地元川原町、向山地域の反対請願もあつて、市議会でも賛否両論のはげしい論議がかわされ、二十対五でようやく町浦の現在地にきまつたわけです。
 この間、市は敷地買収の交渉をすすめる一方、庁舎は江刺の観光もかね、全国でも珍らしい円形の建物とする方針をきめ、東京の坂本鹿名夫氏(円形校舎の創始者)に設計を依頼しました。そして七月四日、全国十二業者を選んで入札会を開いた結果、水沢市の高惣建設(社長高橋惣吉氏)に五千五百四十九万円で落札、翌八月四日に起工式が行なわれました。
ところが工事をはじめた結果、地盤の位置がボーリングの結果と多少ずれがあつて、一部設計を変更(基礎工事およびボイラー、内部電気工事など)しましたので、工事は当初の予定より約三カ月遅れて、着工以来一年一カ月で完成のはこびとなつたわけです。
 新庁舎は、鉄筋コンクリート四階建、直径二十九メートル(四階は三十三メートル)、高さ十八メートル、総面積三千四百二十八平方メートル、総工費は六千五百万円(設計変更で九百七十万円追加)で、四階は約二千人を収容できる大ホールになつています。

 新庁舎への引越しは十六日
新庁舎の完成にともない、市役所の引越しは、九月十六日に一斉に行なうことになりました。
この引越しで市民にご不便やご迷惑をおかけしないよう、スムースにすすめたいと存じますが、何しろ大世帯の引越しのため、緊急のものを除いて、一般窓口事務は十六日(土曜)一日だけは休ませていただくことになります。ただ落成式の記念行事に三階の各室も使われますので農業委員会と教育委員会関係は、約十日遅れて引越すことになつています。
 なお、市役所の電話(四六一番~四六六番、二五八番)も、そのまま九月十六日から新庁舎へ移ります。

 一般事務室は一、二階に
新庁舎の屋内配置をみますと、次図のようになつており、一階は一般事務室、ボイラー室、男女ロツカー、洗面、ポンプ室などで、二階は、一般事務室、宿直室、男女便所、保健室など、三階は、市議会の事務局、議場、電話交換室、有線放送室などが予定されています。四階は、大ホールで、いろいろな催しに利用できるようになつています。
 図の中にある数字の部屋は、次のようになつています。
一階=1階段室ホール、2印刷室、3女子ロツカー・洗面、4男子ロツカー・洗面、5ポンプ室、6ダストパイプ、7暗室
二階=1階段室ホール、2階段、3宿直室、4金庫室、5男子便所、6女子便所、7湯沸室、8保健室、9階段室
三階=1階段室ホール、2階段、3有線放送室、4録音室、5電話交換室、6図書室、7男子便所、8女子便所、9湯沸室、10中四階傍聴席、11階段室

江刺市-ウィキペディア

円形建築,役所