『週刊朝日』(1954年11月28日号1832巻p79)
★円い校舎
円筒形の校舎が、各地で評判になっている。金沢の金城高校、鹿児島県の鹿屋小学校は目下建築中だが、東京では練馬の私立富士見高校がトップを切って十二月五日に完成する予定だ。
この学校は創立三十年、校舎はオンボロになり、新築を考えたが、何しろ敷地が狭く、強いて建てれば、となりの校舎に陽が当らなくなる。そこで、昭和二十三年にこの様式を考え出した建築家の坂本鹿名夫氏が乗出してこの建築となったものだ。
この建物によると第一に、建築敷地が少なくてすむ。従って建築費は安くなる。大体長方形校舎にくらべて鉄筋が三割、コンクリートが四割ですむ。富士見高校の場合、方形だと坪当り七万五千円かかるのが、円くしたために五万円余で間に合ったそうだ。
三階建ての校舎の構造は、真中にラセン階段があり、その周りに扇形の教室が五つある。この教室、末広がりになっているために、先生は全部の生徒に眼が届くし、窓が広いため陽当りもいい、など種々の利点があるようだ。アパート、病院、学校などに、円い建物はもっと採用されていい、立正交成会でも四階の交成学園をこれで建てるそうだし鳥取県の倉吉などでもこの式の学校を建てるそうだ。
写真
東京・練馬の富士見高校校舎の模型
『週刊朝日』(1954年11月28日号1832巻p79)
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