『関西のモダニズム建築』
石田潤一郎監修『関西のモダニズム建築』淡交社(2014年)
梅宮弘光「円形校舎にみるモダニズムの戦後――坂本鹿名夫の「純粋機能主義」と円へのこだわり」
坂本自身が「円形校舎は早くから関西方面に認められ」と書くように、独立の翌年1955(昭和30)年に設計された円形校舎の中には、大阪・兵庫・奈良の事例が約20例見出せる。これらに、学校建築以外の「円形建築」や、実現しなかった計画案を加えるならば、「円形建築」にとっての関西は、因縁浅からぬ土地なのである。
1950年代の後半はたしかに円形校舎の隆盛期であった。しかし同時に、円形校舎が体現するような生産・供給の理論としての合理主義は転換点に来ていたように思われる。
一方、1950年代後半の円形校舎ブームの背景には、この形式への大衆的な支持があったと思われる。大衆には、円形校舎の清廉なたたずまいに戦後的な明るい気分を重ね合わせたのではなかったか。円にはそうした象徴的な作用があったように思われるのだ。
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