法人あやめ池松竹少女歌劇円形大劇場
法人あやめ池松竹少女歌劇円形大劇場
奈良県奈良市あやめ池北1-9-1
あやめ池円形大劇場
奈良県近鉄沿線
設計 1955
施工 鹿島建設
面積 33,000㎡(1000坪)
工費 2740万円(2.7万円/坪)
近畿日本鉄道沿線あやめ池遊園地内に建つO.S.K(大阪松竹少女歌劇)常演場として、又シーズン外の催物を予定して設計した。
敷地は小山の頂部を円形にすき取って、収めた。坐席は2,000人、他に立見、補助合せて1,000人。
上記工費は衛生設備を含む。この他、廻り舞台、迫り3台、舞台照明、音響設備等電気に約1,000万円、椅子、緞帳(東郷青児画)等に同額等一切を合計すると4,500万円即ち坪当り4.5万円で仕上つていることとなり、劇場建設の常識を打破つたものと云える。
故小林一三氏が竣工直後専門家を当所へ派して構造を訊ねられた事がある。形見となつたコマ劇場の構想にあるいは役立つたのではないかと思はれるふしがある。
面積内訳:客席及びロビー1480㎡(450坪)、舞台及び地下室1650㎡(500坪)、楽屋165㎡(50坪)であり周辺スロープ及び舞台簀の子等は面積に加算しない。
この円型大劇場は、円型の客席側とパラボラアーチ(抛物線アーチ)の舞台側および木造の楽屋、付属家とに三大別される。
客席を円型とすることによつて非常に資材の節約が出来たこと、遊園地内にある劇場としての特性を生かし、建物の周辺に沿つてスロープを取り、2階客席のためにオープンフオイア(遊歩場)としても役立たしめたこと。また客席の床傾斜を相当強くとつてもスロープは円周に沿うため傾斜がゆるやかになるこ 等がその有利な点であつた。
パラボラアーチの舞台上家は張間18m(10間)のプロセニアムアーチに大梁を要せず、その他のすべての釣物とともにアーチから釣下げることができて有利である。
劇場内の仕上げはラワン材木毛セメント板下地のコペンハーゲンリブ、間接照明の程度で、大劇場として一般常識の坪単価10万円程度のものと比べ、大して遜色のない仕上げを施している。天井は鉄骨トラスを意匠的に菊花模様状に配置し、その上に厚さ1吋の木毛セメント板を貼り、野地兼用とした。屋根はアルミニウムのハゼ立葺である。主体構造は鉄筋コンクリート造2階建、一部地階とし、床下に換気用ピットを縦横にとつている。
この床下ピットは台湾の劇場ではよくやる方法で夏季涼風がマッシュルームを通し、吹き上げるが、工事途中で折角の風取口を防いでしまつて、ユニットクーラーを持込んでいるのは作者として残念である。
楽屋は木造平屋の瓦棒葺、便所はすべて水洗とし、上記工費には外部浄化槽まで含んでいる。
『円形建築』日本学術出版社(1959年)

『円形建築』日本学術出版社(1959年)
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