日高中学校
日高中学校
和歌山県日高郡日高町志賀71-1
日高町立日高中学校
和歌山県日高町
設計 1956
施工 松村組
面積 1960㎡(593坪)
工費 240万円(4.05万円/坪)
男・女中学校
町村合併により三校が合併した。敷地決定に一年以上紛糾を極めたが、円形校舎ならば古城の跡で耕作に適さぬ南北に細長い三角地帯にて充分な事を説明し、広範な水田を埋立より救うことができた。屋上体育館は土地の人々には馴染めず遂に実現できなかつたが竣工間近には理解され、設けなかつたことを惜しまれた。体育館を別に設ければ少なくとも坪当り4万円前後を要するが屋上ならば2万7千円程度で済む事になる。
一階建の管理棟は土地の設計者にゆだねられたので作者の意図とは別のものとなつた。何はともあれ、遠く和歌山の大平原を見下す古城に立つ、この校舎は広く明るく生徒のみならず、近郊の人々の心の灯台となつたようだ。
☆
くどいようだけれども、今迄学校とか病院とかは広い平坦な土地でなければ出来ないように考えられ続けて来た。日本のような山岳の多い土地では根本から考え直さねばならない事だと思われる。他にもいくらでも方法はあるけれども、円形建物はたしかに一つの解決の手段となつて来たようだ。日高の場合でも初めは貴重な水田や肥沢や耕地を大量に購入しなければならないところだつた。次項の写真でも見る如くそれでも運動場として可成りの平坦地をとる事になつた。これは丘陵の上端の土量をブルトーザトで落してならしたものである。 作者に云わしむればこの運動場になつている平坦地すら惜しいように思う。屋上の体育館を活用する事により、運動場は校地より少し離れた別の丘陵地帯に造成してもよいのではないかと思う。その方が騒音、風塵等の影響も少なく、かえつてよかつたのではないだろうか。 或は更に進んで写真で見えるような遠方の山の麓などに少しブルトーザを用いればいくらでも円形校舎位建てられる土地が得られたと思う。
兎に角、これから円形校舎は安いという許りでなく土地がいらないと言う利点からもつともつと建てられるのではないかと思う。
その点、長野県飯田市の浜井場小学校などは先見の明のあつたものと云うべきである。
『円形建築』日本学術出版社(1959年)

『円形建築』日本学術出版社(1959年)
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